家庭用ゲーム機の歴史からブラゲの野心的な経営戦略を妄想する

ブラゲもずいぶんハイエンド化が進んできました。

アニメーションやサウンドは当たり前、ついに3Dも一般的になってきたわけです。
しかし、業界にいるとリッチコンテンツを作るには躊躇というか壁があるなと思います。

なぜか?

そりゃーブラウザのサポートが一筋縄ではないからですね。
ゲームデベロッパー側から言えばブラゲでゲームを出す最大のメリットって普及台数による潜在顧客数の多さですよね。

PC台数*1≒ブラウザインストール数

ここが担保されてることが大事なことなわけです。
集客という点では、SNSやゲームポータルのようなゲーム人口の密度も大きな要素になるけど、ブラウザのサポートはあくまでローカルホスト側のお話。
なんらかのプラットフォームに載せるにしてもブラウザのサポートを無視して技術を採用することはありえません。

HTML5のサポート状況

HTML5が大騒ぎされてますけど、対応状況はまだこんなもの。

http://www.findmebyip.com/litmus/

とくにAudioがやばい。フォームもグラフィックもまだまだですね。
いったい今HTML5で3D(webGL)やサウンド(Audio API)を用いたゲームを作るとリーチ率はいくらになるのか。

0%でっす!*2

webGLの普及状況
Audio APIの普及状況

adobeはここを逆手にとって、リーチ率によるfalshの優位性を打ち出しています。

http://www.slideshare.net/otachan/html5flashweb

とても勉強になる資料です。というか私はこれでHTML5を構成する技術要素を覚えていますw(だって多杉)

これはFlash VS HTML5なんですが、ブラウザベースのゲームを実現するプラグインはまだまだあります。

HTML5
Flash
Silverlight
・UnityWebPlayer インストール数1億2500万(2012.4)
・NativeClient(NaCL)

さて、そろそろ本題へ。

始めにゲーム会社視点では、ブラウザでゲームを出す最大のメリットは圧倒的な潜在顧客数の多さだと言いました。
この点から言えばリッチなゲームを作りたいならFlash一択になるわけです。

スクエニFlashでPS2レベルのゲームをブラウザで実現

家庭用ゲーム機の歴史でアナロジーすれば、スーファミPCエンジンメガドライブが並んでてスーファミを選択するようなもんです。
当然ですね。だってお客さん多いんだもんwせっかく作った奴なんだから売りたいもんww

上記adobeエバンジェリストのスライドでもflashの生き残る道として、ビデオと並んでゲームが挙げられています。

じゃあなんでflash一択にならないで、UnityやHTML5に力入れてるゲーム会社がいるんでしょうか。

ばかなんじゃないの

いいや、もうちょいまじめに理由考えてみましょう(だって今の会社がそうだから><;)
ぱっと思いつくのは以下でしょうか。

・社員のモチベ向上
・人材の確保容易性
・開発の生産性
・スマフォ

社員のモチベ向上と人材の確保容易性は双子みたいなもの。要は、”今風の技術でかっこいい!”ってことやね。
おとなりのweb業界との境界がシームレスになり人材市場の拡大にもつながります。
開発の生産性は、情報収集が容易だったり、ゲーム用素材(asset)がたくさん流通されているということが挙げられます。
スマフォはiPhoneflash出禁がすべてですね。

しかし、それだけでレッドオーシャン化しじょじょに複雑化・ハイエンドが進展しつつあるブラゲ/ソーシャルゲ市場に
後発企業がわざわざflash以外で攻め込む理由が弱いと感じられます。
iPhoneはほんとでかいけどね。でもしょせんスマフォなんだよね。今すぐPSレベルのゲームになったりしないんだよね。

HTML5&Unityに重点シフトしている会社でやってる私はどうすればいいの。。

PCエ○ジンでゲーム作りたくないよおおおおおおおおおお(今さらながら伏字。。)

発想の起点

でもここで発想の起点を間違っていたことに気が付きました。

そもそもなんでスーファミが王者になったのか。

マリオやドラクエといったキラータイトルがあったからですよね。
スーファミが欲しくて買うんじゃなくて、マリオをやりたいからスーファミを買ったわけです。
そして、収穫逓増の法則が働き、強者ますます栄える。すなわちソフト会社が続々引き寄せられ任天堂の一人勝ちのエコシステムができあがりました。

発想の起点
×スーファミが普及台数多いからゲームを出す
キラータイトルを作れたからスーファミの普及台数が多くなった

後発会社だったらもうスーファミ普及後の世界でもの考えた方がいいんでないの?という考え方もありますが、
ブラゲはまだまだ黎明期です。とゆうかPCの普及台数に比べてブラゲやってるやつなんてほんの一握りのカスwwいや先見性のあるEaryAdopterです(キリッ
状況はまだまだファミコン登場前夜くらいの歴史観のほうがいいかもしんない。
とくにリッチコンテンツについてはそういう要素が強い。

そう。ブラゲの技術選択において、今の普及率を考える必要なんてないのである。

われわれのタイトルで技術を普及させてやる
これくらいでいいんじゃないかと思いついた次第である。

新・経営戦略
Unityのリーチ率(今は10%弱?)をわれわれのタイトルによって20%まで向上させる

うーん。これだと今一だな。だってUnityで作れるゲームってジャンルがわりと画一的だし。。プラットフォームよりもちょい上のRPGつくーる的なレイヤーなんだよね、ゲームエンジンだから。ジャンルが限定されておもろくない。

新・新・経営戦略
ChromeのNaCLのリーチ率をわれわれのタイトルによって20%まで向上させ、chromeを家庭用ブラウザのNo1に押し上げるようなタイトルを世に出す。

うむ。

*1:※全世界の稼働ベースのPC台数は10億台(2008年時点)。
http://japan.internet.com/busnews/20080624/10.html

*2:※各ブラウザの完全サポート率。ただし、webGLはマシン環境により48.4%となる。